読書は学習力をあげてくれるのか？

「本を読みなさい」と子供の頃、大人から言われたことはありませんか。本を読むと頭が良くなるというイメージで大人が子供に勧めることの多い読書ですが、読書と学力にはどんな関係があるのでしょうか。それを紐解く、ひとつのこんな研究結果があります。

テキサス大学オースティン校のレイ・リンデンらの研究グループが、フィリピンの、ある地域の小学校100校をランダムに２つにわけて、ひとつのグループ約2900人の子供達に31日間の読書マラソンを実施しました。残りのもうひとつのグループ約2600人は読書マラソンを実施しませんでした。
読書マラソン期間中の子供達は毎日１時間、子供向けの物語を読んだり、朗読などの時間が与えられました。実施後、読書マラソンをした子供は、しなかった子供と比べて一ヶ月平均７冊多く本を読み、読書マラソン終了後も読書をする習慣を続ける子供たちも出ました。一方で読書と学力の相関関係は、読書マラソンを実施した子供たちの方が、しなかった子供に比べて学力向上が見られたそうです。このテストから読書がもたらす単語力や読解力が強化された効果は大きく、時間が経過しても減少することはありませんでした。とはいえ、もうひとつ見るべきポイントは、算数や理科などの理数系のテストではその影響は見られなかった点です。

読書と学習力の関係性はさまざまな角度から説かれていますが、読書習慣は学習習慣にもつながること、言語機能の発達、文章や言葉から読み取る力の強化には大きな影響を与えます。子供から大人まで、どんな学習をする上でも必要となる、読解力、表現力、思考力を読書は伸ばしてくれます。何よりも自身で探求したい分野の知識を読書から得て、自分の世界を深められるように、読書は子供だけではなく大人になっても一生涯にわたって自分自身を成長させてくれるツールです。